2019.10.05

 

ヘッドドレスから爪の先まで、ぜんぶ真っ白でした。私は真っ白って似合わない色だって分かっていて、プロ診断済なのに、そのワンピースは、わたしもね、我ながら似合ってると少し思ったの。みんなが褒めてくれて嬉しかった。

 

わたしは最前も2列目も取れない弱いオタクです。でもね、嘘じゃなくて、見れたらいいんだ。私はいつもそういう気持ちでチケットをとります。前で見たいよ!そりゃ!でも綺麗事じゃなく、そう思うから。いや前で見たいけどね!

 

ライブはきっと色んな人がもっといいのを書くからそれを見てください。わたしはライブとかナマモノすぎて残せません。

 

 

 

特典会で、わたしにはどうしても言いたいことが一つだけあった。ライブ中、見ていてすごく思ったこと。

 

特典会、みんなの中に入る。

「○○!おいでっ」いつもみたいにしらとりさんが私の手をとる。

 

チェキがたとえ全て同じになったとしても、撮っている時間でどうしても伝えたいことがあった。

「あのね、わたし」

「なあに」

「わたしね!白鳥白鳥推しでよかったって、すっごく、思った!思ったの、今日!」 

 

これがどうしても言いたいことだった。これさえ言えればあとは良くて、何も言わずにほんのりなんとなくえーありがとうとかで終わって、さっとはけて、というはずだった。これだけ、これだけ!と思っていたことがいえて、満足だった。

 

 

「わたしも、、、、」

わたしも?すきにわたしも、と返してくれるのはいつものことだけれど、この返事にわたしも、とは?となっていたら、めちゃくちゃ嬉しそうにまたこう言った。

「わたしもね、、、」

 

 

「、、わたしねっ!!!」これなんか大きい声でびっくりした!なに!?ってなった

 

「わたしね!あなたに応援されててよかった、すっごくしあわせだ〜、うれしい、っていつも思ってるの」

 

知ってる?とでも言いたげな顔で、秘密をこっそり教えるような顔で言ってきて、私は、私は、

 

わたしね!のときは目がちょっと見開かれて、しあわせだあ、の時は目を細めて、うれしい、の時は目を瞑って、ころころ表情をかえて、必死に伝えようとしてくれた。

 

「○○が私推しでよかったって、おもってるの!」

 

私から目を離さず、そう言って笑った。

 

「ほんとうに」言いながら、白鳥さんがさっと両手を組んだ。わたしはぽかんと彼の腕に手を置いたままだった。シャッターが切られた。祈りのポーズだ。私だけのポーズではないけど、私のポーズでもある。大事な日に、このポーズをしたがる。無言のこれは、見えたよのサインか、あなたを認識してるよ、あなたのために祈るよ、あなたが祈ってるの知ってるよ、のサインだ。

 

「ええ、え、ええ〜、え、」

そのまま頭を彼にくっつけたらぎゅっとしてきて、あーなんだろうこの幸せは、とぼんやり考えて、

 

「あはは!言えてよかったあ ほんとうに思ってるんだもの いつも」

「ああ」

「だいすき」

「うう」

「あははっ○○!○○!」

「うん」

「○○。ありがとう」

「うん」

 

いつも私から好きというのに、その日のわたしはうん、とうなずくことしか出来なかった。

 

「またね」

「ありがとう」

「うんまたね」

 

よっしーさんがチェキを手渡すときに「今日、すっごくかわいい」と言ってくれた。ええ〜ありがとうございますと早口で言いながらチェキを受け取って、これがどんな出来でもわたしは今日めちゃくちゃ幸せなんだろうなと思いながら白いワンピースの裾を直した。

 

白鳥白鳥をこうして勝手に推してるだけでしあわせなのに、どうやら彼も幸せ、らしい。アイドルの言葉を鵜呑みにする2019なので。こんなことある?相思相愛じゃん。くらくらしながら東京に帰って、みんなにたとえ言ってたとしても、この言葉の効力は私を今も包んでいる