シンポジウムリフレインの「彼女」の話

まず聴いたことない人はシンポジウムリフレインを聴いてください、ミキちゃん天才だから〜〜

 

https://youtu.be/EwKLKkZKy-w

 

聴いた?

これはあたしがシンポジを聴くと思い出してしまう子の話、だけど、先に言っておくと面白くないしオチもないです。でも全部実話です。あたしの中のシンポジの「彼女」はこの子しかいません。

 

彼女はあたしの中学時代の友人で、部活が同じで、高校1年の夏、東京に遊びに行った時、原宿で芸能事務所にスカウトされて、高校もそのまま辞めちゃって、文字通り全部捨てて東京に行っちゃった。

女優になりたいと言ってて、でもその前は楽器演奏者になりたいと言ってて、音楽科に入ろうと楽器の実技試験の練習までしてたけど、練習に飽きて、途中で諦めて普通科に行っちゃうような、彼女は案外そういう子だった。

彼女はスカウトされた事務所を信用できる事務所と言ったけど、事務所名は言わなかった。風の噂で流れてきた所属事務所は聞いたこともないところで、公式サイトは情報の授業で作るような感じにちゃちくて全然更新されてなくて、でもたしかに彼女は在籍していた。芸名だったけど顔写真が載っていたからすぐに分かった。

 

彼女の親御さんはすごく厳しかったのに、なんで行かせたのか今でもわからない。みんな高校くらい出てから行ってもよかったのに、って言ってて、確かにあたしもせめて高校卒業してから行けばいいのになと思ったりした。でもこの田舎から夢を追いかけて全部捨てて東京に行く人って本当にいるんだ、と思って感動したりもした。

 

結論から言うと彼女は女優にはなれなかった。少なくとも現時点ではなってない。

 

彼女が東京に行って少し経った頃、元気かなあと幼なじみと話していて、なんとなく2人で芸名を検索したら、現役JK撮影会、っていう謳い文句と一緒に撮影会の画像ばかり出てきた。ほとんど水着コスプレ際どいポーズで正直びっくりした。でもこれが現実なのかなとも思った。厳密に言うと学校は辞めたからJKじゃないんだけど年齢的にはそうだよね。彼女の「仕事」は9割この撮影会らしかった。でも小さな舞台にたまに出演していて、女優という肩書きにさほど違和感はなくて、演技がいいとたまに褒められていて、このまま見つかって本当にすごい女優になるかも、なんて思ってた。

 

彼女は撮影会で人気だった。地元にいた時もルックスがずば抜けて良くて、スタイルもえぐいくらい良かったから。それに、若さがあった。小さな事務所で彼女の人気はやっぱり1番で、彼女へのリプもいいねも、撮影会に行く人も1番多かった。

 

ねえ、事務所が早く来た方がいいって言ったのは、高校を辞めさせたのは現役JKが欲しかったから?制服だって水着だってチャイナだってナースだって、際どいポーズだって、彼女が着たいなら着ればいいやりたいならやればいい。極端な話、もしAVに彼女が出ましたといわれてもあたしは別に気にしないと思う。彼女が望んでいたなら出ればいい。でもそれは望んでいたらの話。でも本当はどうだったのかな、彼女は高卒の資格まで捨てて本当に行くべきだったのかな。本当に撮影会に出たかったのかな。

 

でも結局、何が理由だったのかは分からないけど、彼女はその事務所をやめた。そしてどうしたかというと、地下アイドルになった。びっくりした?あたしもしたよ。え?って思った。なんでアイドルになったんだろう?分からない。この話、書きたかったから書いたけど、オチはないの。彼女は地下アイドルになりました。そして今も、現在もそのグループで活動しています。アイドルとして。グラビアアイドルとして、イメージビデオも出しています。これでおしまい。

 

彼女は結局何になりたかったのかな。夢見てた景色は見れたのかな。あたしは別に批判とかしたいんじゃない。彼女の人生は彼女のものなので。ただ、彼女はこれでよかったのかなあと思うんだよ。かわいい子だよ、演技だって下手じゃない。彼女の持ち前の思考回路で、夢は今、アイドルとグラビアに変わったのかもしれない。なら今はすごく幸せだと思うよ。でも、女優じゃなくていいのかな。演技してる彼女はあんなに楽しそうだったのに。演奏者を目指していた頃もあったくらいだから、音楽を好きなのも知っている。アイドルだってミュージシャンに入るよね。だからそういう面ではアイドルだっていいかもしれない。でもこれで本当によかったのかな。いやでも案外、いい意味で目立ちたがり屋だった彼女はこの業界にさえいられればいいのかもしれない。

 

考えても考えても、彼女に会うことは多分もうないから真相は分からないんだけどね。

 

まだあなたが小さな舞台に立っていた頃、まだ連絡が取れた頃、あたしに次は見に来てよって言ったね。行くよって、あたしねほんとに行く気で返事したの。次の舞台はなかったけど。彼女の演技は多分もう見れない。

 

LINEもいつの間にか消えてたし、東京の住所も知らないし、地元の彼女の家族も引っ越したらしい。彼女に会ったところで何か言いたいことがあるわけでもないんだけど。ていうか、それほど仲良かったかと言われるとそうでもなくて、たしかに仲は良かった、でも親友と言えるほどではなかった、って感じだから。でもこの曲聴くとこの中の「彼女」は彼女だ、って思ってしまう。

 

あなたの夢は結局、ステージで表現することだったのかな。だったらアイドルでもきっと叶うよね。そうだといいな。○○の「夢」がちゃんと叶うといいな。

 

この曲を聴くと思い出してしまう「彼女」の話でした。オチはありません。

 

この前何気なく見ていたイベントのタイムテーブル、出演者に、彼女の名前を見つけました。

 

会いに行っていいのかは、わかりません。

 

おわり