誰にも似てない君が今日も愛おしかったのに

 

 

既読のつかないLINE プロフィール変更のマーク ついてないか 毎日チェック Twitter、5秒にいっかいスクロール はじけるマーク 何も生まない

 

君が色濃く空気にのこる きみが住んでた中野を通る度に 君が色濃く空気にのこる 好きって言ってた高田馬場を通る度に 君が色濃く空気にのこる 仕事をしていた渋谷に降り立つ度に

 

君が住んでたアパート 壁が薄かったね 叫ぶと隣の人から 愛ある壁ドンときめかない方かまされてたね それに君は苦笑いで 躁のとき叫びたくなるのは死ぬほどわかっていたから 私も苦笑いしてた

 

君が色濃く空気にのこる きみが仕事で売ってた冷蔵庫を見る度に 君が色濃く空気にのこる 最後に会った時飲んでたポカリを見る度に 最後に会ったのは私の部屋に君が来た時 薬事法違反で手に入れたクエチアピンで アカシジアにおかされる君にアキネトンをあげた パーカーの中で体が泳ぐ普通サイズのパーカーがぶかぶかだった 浮いている鎖骨に一瞬びっくりした  こんなに痩せてたっけ? その時私はちょうどご飯を食べようとしてて その日は珍しくちゃんとご飯を作ってて ○○ちゃんごはんたべた?と聞いたんだった 二人分にはなりそうな味噌汁をかきまぜた 君は首を横に振ったけど、丁重にお断りを入れてきた 最近お腹が好かなくて何も食べてないという もう3日 食べても吐くって 薬のために水を渡そうとしたら持ってたポカリで一気に飲んでしまった 本当は良くないけど ブロンを何瓶も開ける君が、副作用止めを吸収性の高い液体で飲んだからと言って なんだったんだろう 

 

 

彼女は男癖が悪かった というより、クズを引き寄せた 不倫を重ねて手首を切って泣いた 

 

彼女に相手のいない彼氏ができたとき よかった!と思った 彼女だけの彼ができることで、彼女の精神が安定したらいいなと思った

 

 

でもその男は嘘つきだった ほんとうは、彼女だけの彼ではなかった 彼女の精神が最高潮に死んでいて彼女が彼に縋った日、彼はもう1人の彼女とディズニーランドに行っていた 

 

彼は彼女を助けてはくれなかった。

 

彼は彼女の王子様ではなかった。

 

彼のせいで彼女はおかしくなった、元々おかしかった彼女がさらに

 

彼は表向きだけ休止して平然と仕事を続けて生きている

 

男で死ぬなんてばかだとおもった でも、死ぬ理由に、充分になりうることは、よく分かっていた

 

 

私は何年あなたと仲良くしてたのかな?2年は経ったね

 

その子のキャスが好きだった その子が腕を切る、ジャッジャッていうカッターの刃の音を聞きながら眠った 泣きわめく声を聞きながら料理をした 彼女は○○ちゃん、としゃくりあげながら私の名前を呼んだ キャスでよく会話をした

 

私の部屋で不倫を続けるその子の話を聞いた いっしょにカレーを食べに行った 親の話でケラケラ笑った

 

死ぬ理由なんてほんとはきっとどうでもよかった 彼女にとっては わからないけど

 

ずっと死にたいと言っていた 死にたい 死にたい 死にたい 死にたい人ほど、死ねない 彼女は3回未遂した 首を切っても吊っても薬を飲んでも死ねなかった だから今回も、練炭も、失敗すると思った

 

彼女のTwitterがとまった

LINEの返事が来なくなった 

 

閉鎖にいるのかも、と思った 前もそうだったじゃないか、と自分に言い聞かせた そうだ自殺未遂した人間はだいたい閉鎖病棟におくりこまれてSNSの更新が数週間途絶えるんだ、ってことに今更気づいたふりをした

 

人の生命力に賭けたくて 願いをかけて でも口座は止まってた 毒親に金を絞り続けられる彼女に、フォロワーはたまにお金を送ってた それが送れなくなってた 止まったということは

 

LINEの返事が来なくなったということは

 

既読すらつかないということは

 

最後にあげた写真が練炭ということは

 

最後のツイートがラリってたということは

 

きみはきっと、たぶん、いや、おそらく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いってしまったんだね お疲れ様 がんばったね 来世でもカレーを食べに行こう