夏目 というアイドル

 

12月15日、16:38、あたし朝何とか眠すぎる目を擦って起きてさ、メイクしてさ、そのメイクもめちゃくちゃ上手くいって、え!今日の私ブスにしては可愛いかも!とかおもったりしてさ、髪の内巻きもうまくできて(夏目は外ハネが好きだったねでもリボンに合わないからさ)、紫の超かわいいリボン付けて、静岡から渋谷までの電車に飛び乗ってさガタンゴトン揺られる中あんなに眠かったのに緊張で眠れなくてWILL-O'の曲一生聴きながら企画委員て何するんだろうとか上手くできるかなとか今日の私めちゃくちゃかわいく作れたけど夏目褒めてくれるかなとかこのかわいい紫のリボン喜んでくれるかなとかいろんなことをぼんやり考えて、人生初の企画委員やったからそのTシャツ受け取ってハンズで着替えてチェルシーホテルのビルの前に突っ立ってたんだよ。

 

整番引く20分前に解雇発表ってなんだよ。

 

すすり泣く人、ざわめくビル前、私も頭が真っ白で、当日知り合った人に「大丈夫ですか?」って言われたり、当日繋がった推し被りと抱き合ったりした。めんちかってさ、怖いイメージだけど、そんなことないんだなあって他人事のように考えてた。

 

私は勇気をだしてヘアメをした人に話しかけて、来場者にランダム配布予定だった各メンバーの顔がプリントされたクッキーを、企画委員の夏目推しには夏目が行き渡るように渡してくれないか企画委員の仕切りのほうに打診した。その人は私が紫のリボンをつけているのを見てハッとした顔をして、「絶対渡したいので待っててください!」っていってくれた。その人の肩で紫のリボンでヘアメをした女の子がしゃくりあげながら泣いていた。その案は通って、夏目のクッキーが配られた。

 

色んな人がわたしの手を取り、肩を抱き、抱きしめ、背中を支えて、静岡から来たことを知るとさらに眉毛を八の字にして、「泣いていいよ」とたくさん言ってくれた。私の目は涙がこぼれる寸前まで潤んだけど、当日直前の発表ということもあり、ただただ頭が真っ白で、とうとう涙は1粒も出なかった。

 

ライブはとてもじゃないけど見れないよねという話になって、「整番は引いてくよ」と言った。整番を引くわたしは驚くほど冷静で、ていうか唖然としてて、20番っていうちょっとだけ早めな番号を出して、それを他推しの子に使ってと押し付けて、夏目推しと一緒におそろいの企画委員のTシャツを着て、おそろいの夏目のプリントクッキーを片手に持って、ぽつりぽつりと話しながら駅に行って、そしたら乗る電車が途中までおなじってことが分かって、その子が降りるところまで一緒に乗った。その子の降りる駅で目の前の席が空いて、わたしは静かに腰を下ろした。

 

唖然としていた。呆然としていた。「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」というフレーズがなぜが浮かんでは消え、ピアスが何個もあいていた夏目のことを思い出して、「ピアス」という曲を聴いた。そしたらなんだか沁みてしまって、したくちびるをぎゅっとかんだ。

 

「○○はたくさん辛いことがある中来てくれていたから僕といる時は絶対に笑顔でいて欲しかった」

夏目はあたしのことわかってくれてたんだね。

なつめ、私は生きてる中で他の人が経験し得ないようないろんなつらいこともあって、悲劇のヒロインぶるわけでは毛頭ないけど、本当に本当に生きるのが苦しかったけど、なつめといるときは、夏目がふざけたり、真剣な顔したり、笑ったりしてくれる中で全部楽しくて、全部嬉しくて、心から笑ってたよ。

はじめは王子様だって思ってたけど、接していくうちにクソガキな面も、エロガキな面も、嫉妬深いところも、アイドルとして自分にプライドを持ってるところも知って、どんな夏目も好きだったよ。

 

ありがとう。

 

夏目といる時の笑顔に嘘なんてひとつもなかった。嫌な気持ちになったり、行かなきゃ良かったって思うことは1度もなかった。わたしのチェキコンプも夏目にはお見通しで、笑顔で撮ろうよ!って言ってくれたこともあって、寄りが好きなんだ〜って言ったら次の特典会から1枚横チェキ(めんちかはだいたい縦)寄りね!って言ってくれて、毎回それは続いた。それが本当に嬉しかった。夏目はほんとに記憶力おばけさんだねえ。DMで話したこともああ!言ってたね!ってなんでも話通じるから、居心地が死ぬほど良かったんだ。推し被りに嫉妬することはそりゃオタクだからあったけど、なつめはわたしが見る限り平等で、自分のオタクにみんな同じように接していたから、相手によってスタイルを変えるアイドルを否定する気ははなから無いのだけれど、安心できた。わたしはつまらないオタクだから無言でいつも入るか、なつめー!って叫んで入るかの2択だったけど、わたしが行くとパッとかおを明るくして、話しながら自然にさっとカバンとアウターを受け取ってくれるところ、王子様みたいで好きだったな。

 

好きはかなり伝わってたって言ってくれて嬉しかったよ。何回好きって言ったかな。

 

私が夏目を推せたのはたったの10ヶ月。自粛期間も含めたらもっと短い。それでも、こんなに好きだった。こんなに濃かった。推しだった。

 

出会った時はレムにいてさ、はじめはさあ、夏目の優雅なパフォに惚れてさ、でも顔が綺麗すぎて怖くて特典会なかなかいけなくて笑、やっと行けたと思ったら話せなさすぎて「こんな人種初めてだよ!」「君は初めての人間だねえ」「語彙力ちゃん」「固まってるねえ」って言われてさ、まだ列に並んでる友達に「やばい!夏目さん!かっこいい!」って騒いでたらちょうど後ろを夏目が通るときで、友達に「あのさあ、後ろにいるんだよなあ」って言われてえ?って振り返ったらほんとに居て、爆笑しながら「語彙力ちゃんだねえ!」って言われて、撃ち抜かれたんだ。

 

柱の影にいても、キンブレの電池が切れてて目立たない手でのアピールも、絶対にわたしをみつけてレスをくれる夏目が愛おしくて仕方なかった。

 

君のパフォーマンスは桜が舞い散るように可憐で、優雅で、そして儚かった。すべてにワンクッション置くような、やさしいパフォーマンス。わたしはそれがだいすきだった。

 

レムのワンマンでは「来てくれてありがとう!」って本当に嬉しそうな顔をするから、こっちまで嬉しくなっちゃって、多分夏目的にはここが線引きだったんじゃないかな。ワンマンに来るくらい自分のことが好きって認識してくれたみたいで、ここから一気に「夏目推し」って認識されたなあって思ってる。

 

そこから電撃移籍が発表されて、レムの楽曲が大好きだったから辛かったけど、夏目について行くって言う意思しか私にはなかった。

 

なつめ。きみのアイドル人生、たぶん半分近く一緒にいれて幸せだったよ。

 

「毎日日記ちょうだい」って駄々こねる夏目も、他の子とチェキ撮ったの見てて嫉妬する夏目も、わたしの手をアラジンのホールニューワールドみたいにとってチェキを撮る場所まで連れていってくれるなつめは本当に王子様だったし、好きって言ったら足りないなぁ〜ってむくれる夏目も、え〜!?だいすき!っていったら僕は愛してるって返してきて崩れ落ちは私に分かってたみたいにニヤニヤするなつめも、ぜんぶいとおしくてだいすきだった。

 

 

 

 

 

 

友達でもない恋人でもないもしかしたらもう二度と会うことも無い

 

それでもこんなに愛してた。

 

 

ああやっと泣けた。やっぱり文章だなあ。わたしには。

 

 

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